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新着情報:2007年10月分

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2007年10月31日:糖尿病と歯周病

 歯周病は歯肉や歯を支えている骨に炎症が起こり破壊される病気ですが、近年、全身疾患との関係が議論されています。
 すなわち、歯周病が糖尿病を悪化させたり、低体重児出産の原因となったり、また歯周病原因細菌が心臓疾患、動脈硬化、老人の誤嚥性肺炎を引き起こしていると言われています。その中で、糖尿病と歯周病との関係は状況証拠だけでなく、そのメカニズムが説明されており、因果関係はそうとう濃厚です。
 糖尿病に関係するインシュリンは、筋肉細胞が血糖を吸収し利用するのを助ける働きをしているのですが、糖尿病になると、インシュリンの分泌が少なくなるため、血糖が細胞に取り込まれなくなり、血糖値が上がります。。ここに歯周病があると、その炎症巣で産生される物質がインシュリンの作用を阻害し、ますます血糖値が下がらなくなり、糖尿病が悪化すると考えられています。また糖尿病では、感染が起こりやすいため歯周病が悪化するという悪循環を引き起こすことになります。
 実際、重度の歯周病と重度の糖尿病の両方にかかっている方をみますが、両方の病気がお互いを悪くしているように見受けられます。そして、歯周病の改善に伴って、糖尿病の指標であるHba1cが下がって来る方もいます。
 インプラントにしても、かなり重度の糖尿病では、適応ではない場合もあります。
 糖尿病の方は、歯科医院で歯周病のチェックを受けられるといいと思います。
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2007年10月24日:うちのペット

 私の家の飼い犬は、ココちゃんという名前のパグです。
 
 鼻ペチャで、がに股です。鼻ペチャのため、散歩をしていると息は荒くなり、またいびきが大きいので、一緒には寝れません。もう10才を超えており、老犬の部類に入っていますが、いまだに美人で、散歩をしていると、道行く人に「幼犬ですか」と聞かれるぐらい優しい顔をしています。
 性格はおっとりしていて、餌を食べているとき、ふざけて奪っても、返してくれるまで、じっと待っています。ただし、食欲は旺盛で、誰かが食べていると、くれるようせがみます。
 寂しがりやで、家族が出掛け、一人ぼっちになることがわかると、目尻をたらし、情けないくらい寂しい表情をし、また帰って来ると、嬉しくて家中を走り回り、尻尾を振りながら、足元に鼻をこすり続けます。
 攻撃的な性格ではないので、一家に災難が起きても、きっと助けてくれることはないでしょう。夫婦が喧嘩をして、大きな声でやりあっても、部屋の隅の方で小さくなっているだけで、仲裁に入ってくれません。でも、その悲しそうな、かわいい顔をみると、喧嘩も終わります。そんなわけで、ココちゃんは我が家になくてはならない家族です。CIMG0453.JPGppc.jpg

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2007年10月15日:歯科医師会について

 今日は、区の保健センターに行って、三歳児歯科健診を行いました。
 41名の三歳児に対して、虫歯、歯肉炎、他の病気の有無、清掃状態等を検査し、保護者への指導、相談をおこないました、全体的に、皆お口の中はきれいで、虫歯もほとんどなく、問題になる子はいませんでした。

 地域歯科医師会(東京都でいえば「区歯科医師会」)では、行政(区役所)の依頼を受けて、地域歯科医療や保健指導をおこなっています。例えば、この三歳児歯科健診以外にも、一歳半歯科相談もやりますし、さらに、区歯科休日診療所、障害者の歯科治療を行う区歯科保健医療センター、在宅歯科医療の相談、紹介を行う区地域医療センターでの仕事があり、これを歯科医師会会員の持ち回りで行っています。また、区立幼稚園、小、、中学校の校医による健診、保健指導も重要な仕事の一つです。

 現在、歯科医師会会員でない歯科開業医も多く、そのため、区からの依頼の仕事は全て、私たち会員の肩にかかってきており、大変な状況です。
 歯科医師会および会員は、地域住民の皆さんのために、こういうかたちでも働いていることをご理解ください。

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2007年10月09日:痛みについて(2)

医学的にいうと、痛みは三種類に分けられます。
 第一に、痛みを受け入れる神経末端に刺激が及んだときに感じる痛み。例えば、虫歯が歯の神経(歯髄)に達して炎症が起こり、その刺激が神経を興奮させて感じる痛みです。
 次に、神経そのものが障害された時に感じる痛み。歯の神経を抜いた後、なかなかとれない痛みです。
 第三に、精神的、心理的な原因で生じる痛みで、生理的、肉体的には異常がみられないのに感じる痛みです。歯科、口腔外科の領域でこの痛みに悩んでいる患者さんもいます。皆さんの中で、自分でも思い当たる方もいらっしゃるかもしれませんので、今回はその症例をお話します。

 45歳の女性:舌の横腹にイライラするような、鈍い痛みを感じるため来院。診査をしても舌に異常はみられず、よくお話を聞くと、近親者に癌で亡くなった方がいて、それ以来痛みが出て来たようだとのこと。異常がないこと、癌ノイローゼの一種で、舌に癌の兆候など全くないことを説明したところ、安心感からか、涙を流し、その後顔も明るくなりました(精神的カタルシスが得られたのでしょう)。精神安定剤を服用していただき、違和感はのこっているが、あまり気にならなくなったということです。これは、舌痛症(ぜつつうしょう)の一種で、早期に治療しないと、痛みが慢性的になり、治療も困難となる場合があります。

 38歳の女性:左顎から側頭部にかけての強い痛みのため来院。顎関節症、神経痛を疑って精査しましたが、異常はみられず、また親知らずを含む歯の異常もみられません。ただ、顔の表情が仮面のように硬く、そこでお話をよく聞くと、家庭内の問題で悩んでいることがあるということでした。他覚的には異常がなく、精神的ストレスが痛みの原因になっている可能性が高いことを説明すると、ご本人も感ずるところがあったようで、痛みの原因を理解されたようでした。抗うつ剤の服用で、顔の表情も明るくなり、痛みもなくなりました。

 17歳の女性:左顎の痛みのため来院。顎関節、顎周囲の筋肉に痛みがあり、典型的な顎関節症でした。しかし、なにか思いつめたような、硬い顔つきなので、よくお話を聞くと、数週間前に親友が自殺したとのこと。おそらく、精神的ショックによる無意識の食いしばりが顎関節症を生じさせたものと考えられ、そのメカニズムを説明するとともに、薬物治療をおこない、症状がなくなりました。

 このように、精神的なストレスが原因で、口腔に痛みが生じることがあります。
 このような痛みに悩んでいる方は、できるだけ早く、口腔外科や心療歯科にかかられて、適切な治療を受けてください。

 

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2007年10月02日:痛みについて

 歯科医の仕事の第一番は、歯の痛みをとることです。歯は脳に近いところにあって、これを守ろうとする本能のためか、その痛みは他の部位より、うっとうしく、強いようです。百人一首の撰者、藤原定家も「名月記」のなかで、歯痛を繰り返し、今日も歯医者に来させて手当てをしてもらわなければならないと、愚痴をこぼしています。
 それにしても、痛みは、受け入れる個人によってその程度は千差万別で、一旦痛みを引き起こすことがわかると、歯科治療器具を近付けるだけで、痛みを覚える人もいれば、虫歯治療で、歯の神経(歯髄)まで達して削っても、あまり痛みを訴えない人もいます。これは、痛みの刺激を受け入れる神経の作用は同じであっても、伝達先の脳における痛みの程度の解釈が、個々人によって異なるためでしょう。
 また、おもしろいことに、上下の歯を間違えて痛みを認識する人もかなりいます。特に奥歯に多く、下の奥歯の痛みを訴えるので、精査をしても下の歯に異常は見られず、同じ側の上の歯に痛みの原因となっている虫歯がみつかることもあります。説明しても納得せず、それでも下の歯がおかしいと言う人もいます。これは、同側の上下の歯の痛みを感じる神経(三叉神経)は脳に向かって別々に走りますが、すぐ一緒になり、その刺激は脳において同一の場に投射されるからです。脳は必ずしも厳格ではなく、かなり曖昧性を持っているようです。
 これと同じで、上の奥歯の痛みを訴える人で、副鼻腔炎が原因であることもあります。これは、上の奥歯の根っこのすぐ上に副鼻腔の一つの上顎洞があるためで、両者を支配する神経は同じだからです。この上顎洞はインプラントの手術で問題になってくる器官で、歯痛から副鼻腔炎、上顎洞炎の診断をつけるのは、口腔外科でないとなかなかできません。
 事ほど左様に、痛みは非常に主観的なもので、ある本が述べているように、「痛みはまさに、文化的なもの、社会的なものとが混ぜ合わさったもの以外の何者でもない」(R.Rey:Histoire de la Douleur)ので、私たち歯科医は、患者さんのもつ背景にも気をくばりながら、日々治療をしています。

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