平安時代末期の絵巻物「病草紙」に歯の動揺に苦しむ男や口臭に悩む女の図が載っており、古来から日本人も歯周病に苦しめられていたことがわかります。
歯周病が進むと歯の喪失をきたすばかりだけでなく、糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞をきたすことが医学的にも実証されており、特に糖尿病では歯周病の症状に糖尿病の症状が一致することが確かめられています。そのように、歯周病は歯のみならず全身の病気と関連する重要な病気といえます。
上下の前歯の歯肉は、よく引き締まって、ピンク色をしています。健全な歯肉です。
下の前歯には歯石(褐色、帯状のもの)が付着しており、歯肉もやや赤く、腫れています。レントゲン写真では、やや骨の吸収が見られます。中等度の歯周病です。
上下の歯の歯根の周りに、歯垢や歯石が固着しており、歯肉が、かなり赤く、腫れています。また、歯の動揺のため、歯が前に突出し、歯の隙間が広がっています。レントゲン写真では、骨の吸収が、強く見られます。高度の歯周病です。
歯と歯肉の間の隙間(歯周ポケット)をブラッシングして、歯垢(プラーク)を取り、清潔にすることが重要です。
各々の人に合ったブラッシングを、歯科医院で教わりましょう。
スケーリング(歯石除去):歯根に付着した歯石等の沈着物を、超音波素ケーラーや手用スケーラーを使って、除去、清掃します。
ルートプレーニング:歯根の固着した歯石や感染したし歯根部の歯質を、手用スケーラーを使って、除去、清掃します。
骨が吸収した重度の歯周病では、歯肉を開いて、歯根の周りの不良組織とともに、感染した歯質を除去、清掃する手術を行います。この時、骨の再生を促進する薬剤を使う場合もあります。当院では大学院で歯周病学を専攻した藤村麻衣子と口腔外科専門医の院長が手術を行っています。
スケーリング、ルートプレーニングをした後、毎日のブラッシングを励行しても、細菌の塊(バイオフィルム)が、徐々に、歯の周りに、付着してきます。この細菌塊を定期的に、除去、清掃することが、必要で、これをPMTCといいます。1,2ヶ月に1回行うことをお勧めします。