レオナルド・ダ・ヴィンチの歯

 2008年明けましておめでとうございます。
 今年も張り切って、元日からブログをはじめます。年の始めなので、ちょっと、趣向をかえて、芸術的?な話からはじめます。
 ルネッサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチは、解剖図譜といえるような、全身の解剖図のデッサンを15世紀末に著しており、現在イギリスのウィンザー城王立図書館に保管されています。
 その中に、頭蓋、顔面の解剖図があり、芸術的であると同時に科学的な正確さを備えていて、感情を抑えた美しい絵になっています。インプラントの手術時に重要となる下顎の神経、血管や、上顎洞の構造も目を見張るばかりの精緻さで描かれています(下左図)。
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 この頭蓋、顔面の骨の絵の横に、4種類の歯が描かれています(上右図)が、他に比べるとかなり稚拙なデッサンです。右から左へ前歯、犬歯、小臼歯、大臼歯を表しており、絵の上の数字はその本数に一致すると説明されていますが、歯科医からみると、ちょっと違うのではないかと疑問を持ちます。一瞥したところ、歯の形がほっそりし、根も弱弱しくて、乳歯のようにも見えます。しかし、この解剖図はすべて成人を対象にしていますから、歯だけ子供のものを選んだとは思えません。そして永久歯であるなら、歯の形から類推すると、右から順に前歯、犬歯、下顎大臼歯、上顎大臼歯と考えられます。しかし、そうなると歯の上に書かれた数字が意味をなさなくなってしまいます。
 歯の形と数字、これがどうしても一致しないのです。また歯の形が実際のものとはやや異なっているのです。絵の稚拙さからすると、レオナルドではなく、工房の助手が試みに描いたのかもしれません。いずれにしろ、この解剖図をもとにいろいろ考えをめぐらすと、推理小説を読んでいるような気になります。
 「ダ・ヴィンチ コード」でも触れられているように、レオナルド・ダ・ヴィンチは、反カトリシズム、反ヴァチカンの秘密結社の総裁だったとも言われており(マイケル・ペイジェント他著「レンヌ・ル・シャトーの謎」)、また、キリストの亡骸を包んだトリノの聖骸布を作製した張本人だとも言われており(リン・ピクネット他著「トリノ聖亡骸布の謎」)、興味は尽きません。

投稿日:2008年1月1日  カテゴリー:未分類

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